黒鯛心悸TAKE4 2012チヌポコリン in宮島

広島スタートライン 2012.11掲載

こんにちは皆様、唸るような灼熱の暑さも薄れ、日を追うごとに過ごしやすくなりましたね。本誌が出るころには、秋も深まり紅葉に時期になっているかと思います。私にとって紅葉といえば「もみじ」、もみじの紅葉は、綺麗で鮮やか、見ているだけで眼福の時間を与えてくれますが、ほんの少し散る姿が冬の到来を予感するので寂しくも思えますね。もう一つ「もみじ」といえば、日本三景の一つ「宮島」。

一般の方にとっては、宮島=もみじみたいな感じありますが、大のチヌ釣り好きにとっては、宮島=チヌみたいなところあったりします(笑)

宮島は岩場が多く、海の底地は砂地で遠浅の為、餌になる貝類や微生物が多く、また島周辺には、太田川から流れてくるミネラルたっぷりの水質に、身を隠せる牡蠣筏の存在、と食と住が共存しているため、チヌの個体数自体も、多いということです。

先日、そのチヌの多い宮島の磯で私が所属しております、本誌でもおなじみの、大知昭・豊名人率いるチームアクアのイベント「チヌポコリン」が開催され参加させて頂きました。

「チヌポコリン」は、1対1の試合を2試合行い、ポイント制で争い、上位2名が大知昭名人と、3人で決勝戦を行うというものです。まず私の釣果&結果(1勝1敗で総合6位)の内容はさておいて、激闘だった決勝戦の模様を報告させて頂きます。まず、予選を勝ち抜いたのは、6月の同チームイベント「チャンピオンシップ」でも準優勝した常勝の楢原選手、シマノ大会全国経験者の栗栖選手です。ともに予選で圧倒的な2勝を修め勝ち上がりました。

右から、栗栖、楢原、大知

決勝戦は、宮島のすぐ隣にあり加部島の「大明神」という釣り場にて、50分ごとに場所交代を行い、3セットを行います。敗者は、後ろで決勝戦を見学&勉強です。

1セット目海に向かって左から、楢原選手、大知選手、栗栖選手。
開始早々、3人共、手前の瀬際を中心にチヌの居場所を探ります。

1セット 栗栖さん

1セット 昭さん

1セット 楢原さん

ここで注目は、まだ潮が低い段階で本命ポイントに入った、大知選手。先手必勝で逃げ切りするかのように、驚異的な撒き餌ワークで、早い内に勝負に賭けているのが伝わります。ただ驚異的な撒き餌を撒くにもリスクがあり、潮下に栗栖選手がいて、栗栖選手にも撒き餌が効いてしまうということです。やはり栗栖選手は、そこを計算して、大知選手が撒く撒き餌のライン沿いをしぶとく狙います。撒き餌を撒くこと一つとっても、互いに計算し勝負しているので、見ているこちらもドキドキしますね。ただ3選手共に、餌取りの活性が高く、小鯛、クロ、ベラ、フグと大賑わいで厄介な状況のようです。

開始30分、初ヒットは栗栖選手。30センチ前後のチヌをゲットし、餌取りが多い厳しい状況に中で頭一つ抜けました。ただここで大知選手は、焦らずしぶとく同じポイントを攻めているようです。私なら、2匹目を釣られまいと狙うポイントを変えてしまいそうですが(汗)、後で聞いた大知選手の説明では、2セット目は時計回りなので、栗栖選手が入った場所に大知選手が入る、1セット目に撒いた自分の撒き餌が、間もなく2セット目にも効いて勝負できるということです。

現状の状況に左右されず、先のことも考えながら勝負しなければならないことを学びました。1セット目は、栗栖選手の1匹のみで、他選手はノーヒットのまま時間が過ぎ交代です。

2セット目
海に向かって左から、栗栖選手、楢原選手、大知選手。ここで注目なのが、2セット目を考えて撒き餌を撒いた大知選手の賭けに、大知選手が入った本命ポイントに常勝の楢原選手が入るということです。栗栖選手は、早い段階で、遠投に切り替え更に追加の1匹を狙います。また潮が満ちてきており、50分前とは違う足場になります。瀬戸内は潮の干満の差が激しく、ほんの50分違うだけで、釣り場が様変わりします。

開始15分、ヒットしたのが丹念に撒き餌の筋を狙っていた大知選手。掛かった魚は、どうやら良型、一度沖に魚を走らようとしてましたが、根に入られました。満ちてくると、必然的に後ろに釣り場が後退しますが、その分足元は根が多くなり、やり取りを困難にさせます。ここでも大知選手は、焦らずに対応し魚が瀬から動くのを待ちます。ただここでなかなか瀬から離れず、時間をロストしていきます。

そんな中、本命ポイントに入った楢原選手が1セット目に栗栖選手が釣ったチヌとほぼ同サイズをゲット。この時点で、楢原選手、栗栖選手どちらが優位か分かりません。ここで大知選手の動向が気になります。依然として魚が掛かっている状態の大知選手。なんと10分にも及ぶやり取りの末、チヌを瀬から離し45cm前後の体高のある良型チヌをゲットしました。私も含めほとんどの選手は、捕れないと思っていました(汗)ここでも、早い段階で仕掛けを切って、次の本命を狙うか?待ち続けてバラさずに掛かっている魚を捕るか?駆け引きの一つであります。

ここでも、のちの説明では、状況的に、本命がそんなに多く釣れる状況ではない、また今掛かっている魚を捕ればある程度、リードできるので仕掛けを切らず、捕る方を選択したとのことです。また瀬に当たっている以上、ハリスに傷が入っているので、やり取りを慎重にしなければなりません。

2セット目は、勝負し良型をゲットした大知選手がリードしたまま終了しました。
2セット昭さん4

2セット 昭さん

2セット 昭さん2

2セット 楢原2

2セット 楢原

2セット 昭さん3

3セット目
海に向かって右から、大知選手、栗栖選手、楢原選手。この時点で、大知選手がリードしていますが、3選手共に同匹数で、もう1匹釣れば誰が優勝するか分からないという白熱した試合です。また、3セット開始直後から、風が強く吹き始め、海の状況も変わり始めました。

ここで注目なのが、良型が釣れた場所に、楢原選手。本命ポイントに栗栖選手。追う2人の選手の動向です。3選手共通して、前セットで他の選手が狙っていた場所を狙い、追加の本命を狙います。開始10分経過頃、勝負に動いたのは大知選手、2セット目に栗栖選手が狙っていたポイントから、1セット目に楢原選手が狙っていた場所にポイント移動。

同じ頃、風が出たことにより、波が立ち始め、餌取りだったクロが更に高活性。大知選手のクロは、軽く30cmを超す良型です。

開始35分、なんと勝負に出た大知選手が、30cm前後の本命を追加。さらにリードし勝利を手繰り寄せます。時同じくして、楢原選手も、良型らしき魚を掛けます、しかし根に入られたと同時に、不運にもハリス切れ。

3選手共に入り乱れる駆け引き&激闘の末、このままタイムアップとなり、優勝は抜群の勝負力が光った大知選手でした。
3セット 栗栖

120923_143915

3セット 楢原

この試合を観戦できた私はとても幸せ者ですね。

トップクラスの選手の駆け引きは、見ていてとても為になるし、緊張感が伝わり、逆に見ている方が選手よりもさらに、ドキドキします(笑)少しでも、読者の皆様にこの緊張感を感じてほしいと、たまにですが、黒鯛の心悸(鼓動)の一つとして、釣り雑誌等には無い試合の経過報告もさせて頂きます。

4-1

今後とも宜しくお願い致します。

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